プロのブックライターに必要な「粘り強さ」とは

ブックライティング

私の考えるプロのブックライターに必要なスキルは以下になります。

1.文章力
2.聞く力
3.読者目線
4.構成力
5.タイムマネジメント力
6.粘り強さ
7.発想力
8.情報収集力
9.胆力
10.真面目さ

前回は「3.読者目線」につ

前回は「5.タイムマネジメント力」について説明しました。
https://iehikaku.com/archives/918

今回は「6.粘り強さ」について書きます。

「6.粘り強さ」
ブックライターの仕事に明確なゴールはありません。
いくら文章を書き連ねても、伝えたいことが伝わらなければ意味がありませんし、
いくら分かりやすい文章を書いても、
ある程度の文字数がなければ本として成立しません。

そのような条件下で誰がゴールを決めるのか。
それはブックライター自身です。

最終的に「これでいい」と判断するのは編集者の方ですが、
それはブックライターが納品した後に決めること。
この時点で「このライターは全然ダメだ」と思われたら、
次の依頼はないでしょう。

ですから、プロのブックライターは、
何度も何度も推敲を繰り返し、
「これでいいのか?」と自問自答する粘り強さが必要です。

ここで
「もう締め切りまで時間がない」
「ここはちょっとスッキリ読めないかもしれないけど、ほかの表現が思いつかない」
と妥協してしまってはブックライターとして失格です。
編集者と約束した締め切り時間1秒前までベストを尽くすべきです。

そしてベストを尽くしても完成度に納得できず、締め切りも迫ってきたのなら、
編集者へ正直に相談するべきでしょう。
意外に
「こう書けばいいんじゃないですか」
とスッキリするアドバイスをもらえるものです。

「そんなこと相談するのはプライドが許さない」
というブックライターもいるかもしれません。
しかし、自分のプライドのために本の完成度を下げてしまったら本末転倒。
結果的に編集者にも著者にも多大な迷惑をかけてしまいます。

そもそも編集者はブックライターにとって唯一といっていい仕事のパートナーです。
「よい本をつくる」という共通の目標を達成するためなら、
プライドなんか気にせず相談するべきだと思います。

また、ブックライターの粘り強さは、取材時でも重要です。
取材相手となる著者の多くは、本づくりに関しては素人です。
そして努力を努力と思わず、才能あふれる人が多い。

ですから、難しい内容をさらっと話してしまうことが多々あります。
例えば
「こんなこと頑張れば誰でもできるでしょ」
というスタンスなのです。

しかし、読者の多くはその頑張り方が分かりません。
ですからブックライターは、取材中に同時進行で頭の中で原稿を書き、
「これでは読者に伝わらない」
「内容が薄すぎる」
と即座に判断して深掘りする質問をします。

このとき、1回聞き直してもまだ内容が薄いことがあります。
取材相手のほとんどは、多忙な経営者や士業の先生。
テンポよく取材が進まないと機嫌が悪くなる人もいます。

それでも
「この本の読者ターゲットとなる人の知識レベルは、〇〇くらいですよね。
ならばこういったことが知りたいんじゃないですか?」
といったようにあの手この手で質問を繰り返す粘り強さが、
プロのブックライターには不可欠なのです。

私はある不動産投資のブックライティングをした際、
取材中に著者に黙り込まれることが何度かありました。
質問内容が細かすぎるというのです。
それでも
「私が読者ならここが分からないと本を閉じてしまいます」
といったことを伝えると、
その著者は、会議室から自分のデスクへ何度も往復し、
分かりやすい資料やデータなどを持ってきてくれました。

その結果、本の発売初日から問い合わせがあり、
即日に成約もあったそうです。

後日、著者から食事のお誘いをいただきました。
自分では絶対に注文しない高級ワインを味わいつつ、
聞いたのはこのような言葉でした。

「椎名さんが重箱の隅をつつくような質問をしてくれて本当によかったです(笑)
おかげで問い合わせをしてくれるお客様のほとんどが、
こちらの商品を理解しているので、
商談が今まででは考えられないくらいスムーズになりました」

まとめると私の考えるプロのブックライターの「粘り強さ」とは以下になります。

・何度も何度も推敲を繰り返し、「これでいいのか?」と自問自答すること
・本の内容をより充実させるため、取材時にあの手この手で質問を繰り返すこと
(著者の機嫌を損ねないように)

次回はプロのブックライターに必要な「発想力」について書きたいと思います。

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