ブックライターに必要な「構成力」とは

ブックライター

取材中に頭の中で原稿を書ける!

私の考えるプロのブックライターに必要なスキルは以下になります。

1.文章力
2.聞く力
3.読者目線
4.構成力
5.タイムマネジメント力
6.粘り強さ
7.発想力
8.情報収集力
9.胆力
10.真面目さ

前回は「3.読者目線」について説明しました。
https://iehikaku.com/archives/900

今回は「4.構成力」について書きます。

「4.構成力」
構成力と聞くと、もしかしたらテレビなどの構成作家を思い浮かべる人もいるかもしれません。
「よくそんな面白いこと思いつくなぁ」と感心してしまうような豊かな発想力の持ち主です。

しかし、最初に白状してしまいますが、私の発想力はそれほど豊かではないと思います。
それでもブックライターとして何とかやっていけています。
その理由は、ブックライターのもっとも重要な仕事は、
「著者の一番伝えたいことを中学生にも分かるように書くこと」
だからです。

ですから、あっと驚くような構成力は必要ありません。
実用書やビジネス書において読者を驚かせるなら、
構成ではなく著者の考え方や体験談で勝負するべきです。

では、ブックライターに必要な構成力とはどういったものなのか。
それは簡単にいってしまうと
スムーズな「起承転結」を作成するスキルです。

例えば次のような「起承転結」が考えられます。

起:サラリーマンの年収は30年間増えていません(問題提起)
承:年収が増えない社会的背景(問題の深掘り)
転:ならば不動産投資で収入を増やしましょう(解決策の提案)
結:収入が増えれば老後2000年問題どころかFIREも可能になります(解決後の未来像)

プロのブックライターは、
著者から1~2時間話を聞き、彼らの一番伝えたいことを一言で表すことができます。
そして、それを読者が深く理解できるように、
まず起承転結を構築し、そこから数十の項目から成る目次案を作成します。

この目次案の出来を左右するのが構成力です。
出来のいい目次案によって書かれた本は以下のことがありません。

・項目ごとのオチがない
・話の流れにちぐはぐな部分がある
・同じ内容を繰り返す
・難しい内容の説明がない
・説明が足りないので唐突感を覚える
・本題と関係ない内容が多い(本題がぼやける)
・自慢話が多い

つまり、出来のいい目次案によって書かれた本は、
読んでいる途中で引っかかることがないので、
読書に慣れていない人でも一気に読めるのです。

目次案は出版社の編集者が作成し、
ブックライターがそれを本の設計図として取材を進めることも多々あります。

いずれにしてもプロのブックライターは、
目次案を頭の中にすっかり入れた状態で取材を行います。

そして取材中は著者から聞いたことを基に、
頭の中でリアルタイムに原稿を書いていきます。

ですから、
「今聞いた情報では伝わらない」
「1章分としては情報が足りない」
「目次案と反対のことを言っている」
といったことを瞬時に判断できます。

これは本のボリューム(7万文字前後)を身体で覚えているから可能なことでもあります。
話を聞いているうちに
「このままではパンフレットのように薄っぺらい本になってしまう」
「この章だけ極端に文字数が少なくなってしまう」
といったことが分かるので、
その場で臨機応変な質問や目次案変更の提案をすることができるのです。

この本の全体像を把握し、取材中に頭の中で原稿を書けるスキルも構成力といえるでしょう。
このようなことからプロのブックライターに求められる構成力は、
構成作家やデザイナーなど、いわゆるクリエイターに求められるものとは違うと思います。
彼らに求められるのは、ほかとは違う独自性です。
誰かの作品と似ていたら、すぐに「パクリだ」と評価を下げられてしまいます。

一方で本に独自性を出すのは、あくまで著者のコンテンツです。
編集者やブックライターはその独自性がスムーズに伝わるように設計図(目次案)を書き、
ブックライターはそのとおりの作品になるように原稿を書きます。

ただし、書いている最中でほんの些細な引っ掛かりや違和感があれば、
著者や編集者と相談したうえで修正します。

この立ち位置はまるで大工さんです。
ですから私は、ブックライターはクリエイターではなく職人だと感じています。

まとめると私の考えるプロのブックライターの構成力とは以下になります。

・読書に慣れていない人でも一気に読める目次案を作成できる
・本の全体像を把握し、取材中に頭の中で原稿を書ける

次回↓はプロのブックライターに必要な「タイムマネジメント力」について解説します。
https://iehikaku.com/archives/918

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